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第13話

彼女の話し方は実に直接的だった。

江口奈々の婉曲的な言い回しとは違っていた。

江口奈々は少し困惑して、「そういう意味じゃなかった」と弁解した。

霧島弥生は彼女が言った言葉がどういう意味かを気にする余裕はなかった。

石原真一が彼女に薬を処方して、江口奈々に言った。「薬を飲みたくないようだが、彼女の体調を考えれば飲んだ方がいいでしょう。これは漢方薬で、体に害はないから、数回程飲めばいい」

「はい」と言い、江口奈々は漢方薬を受け取った。

三人はクリニックを出て、宮崎の家に戻った。

宮崎家

車のドアが開くと、霧島弥生は目眩を我慢しながら外に出た。彼女は今はただすぐに部屋に戻って、眠りたいと思った。

しかし車から降りる時、彼女はよろめいて、倒れそうになった。それを見て宮崎瑛介はすぐに手を伸ばして支えた。

彼は眉をひそめて彼女を見つめた。「もうこんな状態になったのに、まだ薬も注射も受けたくないなんて、君は本当に……」

車から降りた江口奈々は二人の手が触れ合ったのを見て、急いで霧島弥生を支えた。

「瑛介くん、私が手伝うから」

江口奈々は霧島弥生を支えて玄関に入った。使用人たちに会うと、彼女はあいさつをした。

使用人たちは皆、江口奈々を見て、不思議な表情をした。

江口奈々が霧島弥生を階上に連れて行った後、彼らはついに我慢できず、集まってささやき始めた。

「見間違いじゃないか?先ほどのあの方は江口さんだったか?」

「江口さんって誰?」

この家に少し長くいる使用人は江口奈々を知っていたが、新しくきた使用人は知らなかった。

「江口奈々は、主人が好きな女だよ。こんなことも知らないなんて」

「主人が好きな女?」その人は目を丸くした。「しかし、主人はもう結婚しているよね?」

「名門の婚姻は、ほとんどは取引なんだ。本当の恋愛関係なんてほとんどない」

話している人は宮崎家に長い間いるのを自慢していて、得意げに話していた。「あんたたちは新しくきたからわからないけど、私はあの時この目で見たんだよ。江口奈々は主人が好きな女で、主人を救った恩人でもある。彼女は以前留学に行っていたけど、主人はずっと彼女を待っていたんだ」

「じゃ、主人はなぜ奥さんと結婚したんだ?」

「それは宮崎家の大奥様が病気になって、主人が結婚して立派な家庭を築くのを見たいと思っていたから、主人は仕方なく、代わりに誰かといったん結婚しようと思った時、ちょうど霧島家が破産した。わかった?」

話が終わると、その人は眉をひそめた。「これは名門の秘密だ。知っている人はほとんどいないから、漏らないようにして」

「えー、主人と奥さんがとても仲がいいと思っていたのに、それが偽物だったとは思ってもみなかった」

「そんなわけないでしょう?全部芝居なんだよ、あんたのばか」

皆はまだ何か言いたそうだったが、大きな咳をする声が聞こえ、話を止めた。

振り返ると、執事が暗い顔で彼女たちを見ていた。

「仕事は終わったのか?君たち」

使用人たちはクモの子をちらすように逃げた。

皆が去った後、執事はそこに立っていた。もう50歳を超えた彼は、眉も半分白くなっていた。彼はその眉をひそめた。

江口奈々が戻ってきたのか……

先日の奥様の様子がおかしいと思った理由が分かった。

江口奈々は霧島弥生を部屋に連れて行った。

「ありがとう」

「いいえ」江口奈々は笑った。「ゆっくり休んでね」

「はい」霧島弥生は靴を脱いで横になり、後から入ってきた宮崎瑛介がのんびりと入って来たのを見た。彼は全く気にしないようで霧島弥生をちらりと見て、視線を江口奈々に移した。

「送ろうか?」

ここは宮崎家だから、彼女も今はここで長くいる理由がない。江口奈々はうなずいた。

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